☆ 宗明庵 ・ 波乱万丈 萩ツアァー ・ 仰天編 ☆
萩は本当に心温まるよい街でした。 しかし、わたくしたちの中で、最も忘れ難い思い出は・・・ 実は宿泊した一流旅館のお食事なのです。 「ものすご〜くおいしいお料理でした!!」というのが まぁ順当な思い出なわけですが・・・ その真逆の真実に驚愕したわたくしたちです (*_*)… なんですか、これでは悪口みたいで気が咎めるのですが 世の中にはこーんなこともあるのだというトピックスとして お読み頂けましたら幸いです m(_ _)m そのお宿は、家庭画報にも大きく掲載され、 皇室もご利用になったことのある「常○恵」さんという老舗旅館です。 事前に拝見した案内パンフレットにも、格調高いたたずまいと共に 「こんなに食べきれるかしら〜 (*^_^*)」と心配になるような 豪華絢爛なお食事の写真が載っています。 わたくしたちの中で勝手な妄想が膨らんでいたのは事実ですが おそらく、このお宿の利用者の十中八九が同じような期待をもって 宿泊予約をしたのではと思われます。 お食事だけではなく、今思いますと わたくしたちの老舗旅館に対する認識を覆すような出来事は 既に到着時から始まっていたのでした。 まず、玄関で出迎えて下さったのは (申し訳ないのですが)超〜高齢の仲居さん達!! その中に「女将」らしき方の姿は見えず ロビーの椅子に案内されるも ウェルカムドリンクやお茶が出るわけでもなく・・・ 「ハーイ、お部屋にご案内しまーす。 はい、三人部屋の方はこちら〜」 とおっしゃるのですが、その手には全く別室の方のお荷物が・・・ この荷物がどの人のものなのか、ということは 意にも介していない様子なのです。 私たちはあわてふためき、思わず 「あ、結構です、私達荷物自分で持ちますので!!」 と駆け寄ってしまいました。 あっさり 「 あ、そうですか 」 と手渡されましたので わたくしたちは、重い荷物を持ち、ひ〜こら階段を上がったのでした。 もしかすると・・・ あの仲居さん達は、人手不足のため、 近隣の農家から? あるいはシルバー派遣センターから? 急きょ募集した高齢者の方々ではなかったのでしょうか!? いずれにせよ、あの不慣れな雰囲気から察するに、 決してプロの方々ではないと思うのです。 名の知れた旅館ではよく見かける 「本日はようこそお越しくださいまして・・・」 という 女将のご挨拶等もないままでしたが・・・ 建物やお部屋の素晴らしさに圧倒され その時点でも、まださほどの疑問は もっていなかったわたくしたちです。 そして! 思い出の(?)お食事タイム・・・ このお宿はお部屋食ではなく、 一階の大部屋に集められてのお食事でした。 もっとも、わたくしたち12名だけのお座敷でしたので リラックスしてお席につきました。 何十畳あったのでしょうか、本当に広々とした畳部屋で 床の間も素晴らしく・・・ またまたマジックにかけられたわたくし達の前に、 いよいよお料理が運ばれてきました。 前菜の「胡麻豆腐」に・・・ まずはアレッ!? と思いました。 このもそもそとして粉っぽい食感は、 明らかに冷蔵庫の中で時間を経てしまった葛特有のもの。 たまたま、よね? そんな、マサカ、気のせいよね? そして次に運ばれてきたのは「椀物」ですが これには圧倒的なショックを受けました。 とにかくおすまし汁に、おだしらしき香りもコクもなく、 ついでにお味もつけ忘れてしまったのでしょうか、まさに「お白湯」なのです! (更に、すっかり冷めてもいました・・・) 椀種は「鱧葛たたき」とのことでしたが あきらかに冷凍の鱧を茹でただけのもので、特有の臭みもあります。 これもまたなーんの味もせず、塩すら振られていないのです。 添えられているこごみは、茹でてあるのかいないのか、ゴリゴリとした食感で 唯一普通に味がつけられていたのは鱧の下に敷かれた卵豆腐です。 これだけが味付けされているのはいかにも不自然で 思わず「既製品、切っただけ!?」と思ってしまいました。 器は、蒔絵も何もない樹脂製のお椀です。 えぇっ!? こんなことってあるのでしょうか??? 皆さまも同様の感想らしく、しきりと首を傾げています。 この時点で決定的となった悪夢は、 最後のデザートまで続きました。 向付・・・ 大きなプラスチックの角皿に一面に盛られた氷。 大根の薄い輪切りが乗せられ、 その上にちょこっと盛られたキャラメル大のお刺身。 うぅ〜ん、この鯛、養殖ですよね・・・? 蒸し物・・・ 完全に冷めきった器の中に ど・ピンクに染められた道明寺。 おしながきには「甘鯛巻き」とありますが 甘鯛でしたら、どうして赤くないのでしょう? なにやら青背の魚で巻かれています。 だしの効いていない銀あんはただドロドロの物体に過ぎず ここにもまたまたゴリゴリのこごみが添えられています。 「お熱いうちにどうぞ」とすすめられましたわたくしたちは 言葉を失い・・・ 「ゼンっゼン、お熱くないですよねー」 。。。 焼物・・・ 金太郎 とかいうお魚が名産らしく 地元の食材を、というお心遣いはありがたいのですが この小魚がちょこんと盛られた焼物皿には、涙が出そうでした (T.T) けんちん というお料理名から察するに卵でなにやら固めたものが お魚の上に乗っていたようですが もそもそしていて、食べる気持ちになりませんでした。 ご飯とお汁・・・ よくホテルの朝食のバイキングにあるような巨大な炊飯器が どどーんと置かれ・・・ そこから盛られたてんこもりのご飯。 こ、これを、この小皿のお漬物だけで食べるんですか!? ( とはいえ、ひもじかったので、頂いてしまいましたが ・ 笑 ) 忘れた頃にやってきたお汁は「赤だしでございます」とのご説明とは 裏腹に薄〜い色をしています。 想像通りの「だしなし・味なし」のお味噌汁でした。 そして、デザートが圧巻でした!! 大きな器に氷が敷かれ、その上に湯むきしたプチトマトが ひとつ、コロリンと乗っているではありませんか!! わが目を疑うような光景でしたが ここまで徹底されていれば、逆に清々しほどです (笑) お品がきには「フルーツトマト」となっていますが 間違いなくあれはただの大きめプチトマトでした。 飛び上るほど酸っぱいこのトマトを デザートです、と出されましても・・・ (T.T)(T.T)(T.T) お食事が終わるころには、すっかり言葉少なになった わたくしたち。 仮にも一泊四万円近いお代をお支払いして、 こんなお食事を誰が想像したでしょう??? 男性クラスから単身参加し、団長を務めてくださったM氏が 「これでは山口県出身者として申し訳なさすぎます。 明日の夕食はお断りして、どちらかほかのお店に 行きませんか?」 と提案して下さり、一同合意いたしました。 だって、この淋しさが、イコール萩の思い出になってしまうなんて あまりにも残念すぎますもの… (T.T) (T.T) (T.T) ご紹介くださったEさんには大変申し訳なかったのですが 急きょ他のお店を押さえて頂き、 翌朝、ロビーにて受付の方にその旨をお伝えしました。 一応女将に直接お伝えを、と思い 「女将はいらっしゃいますか」とお聞きするも 「館内のどこかにはおりますが、今はおりません」とのお返事。 ついに女将のお顔を拝むこともできず このお宿も去るのねぇ〜 と思っておりましたら しばらくして「女将でございます」という ごくフツーの洋装の女性が現れました。 「何か不都合がございましたでしょうか?」 とおっしゃるのですが、 いや、あの〜、不都合も何も。。。 ^ ^; 「失礼ですが、女将や上の方々は、同じお食事を 召し上がっていますか?」と伺ったところ 「はい、毎日ではありませんが…」とのお返事。 「もし、昨晩のお食事と同じものを召し上がっていただけましたら わたくしたちの気持ちはご理解いただけると思います」 とお答えしました。 既にほかのお店を予約してありますので、とお話ししたのですが 「そんなことをおっしゃらず、 今夜、どうぞ名誉挽回のチャンスを!」 とのこと・・・ もうあの悪夢を二夜続けてみることは 耐えられそうにありませんでしたが 女将のあまりの熱心な訴えに、皆様とご相談の結果 「それでは… 賭けてみましょうか?」という結論となりました。 果たして、その夜のお食事は・・・ 帆立の先付に始まり 蛤の潮汁の小鍋 向付は、大鉢に盛られたあこうの姿造りに 生雲丹、サザエ、甘エビ、トロが添えられています。 お魚の種類も、量も前夜とは打って変わって夢のよう。。。 その他にも 黒毛和牛のしゃぶしゃぶ 大きな焼きアワビ などなど・・・ まるで竜宮城に来たかのようでした!! \(^-^)/ ご飯も電子ジャーではなく、土鍋で炊かれており この日は「お代りはいかがですか?」 と聞いて下さるお姉さんまでいました。 ( こ、今夜は、バイキングみたいに 自分でつぎに行かなくていいんですね!?) まことにありがたく頂いたのですが… あまりの落差に、驚くばかりでした。 逆にほかのお部屋の方々は、このしわ寄せで もっと貧しいお食事になってしまっていないかしらと 心配にもなりました。 しかし、Eさんが結納の際にこのお宿を使われた際は お料理もとても素晴らしかったとのこと、 近年のお宿に、なにかしらの異変があったのではと 思っています。 たとえば 板前さんが逃げてしまった、とか? 素敵な萩焼の器も一緒に持って? ついでにベテランの仲居さんも引き抜かれちゃった、とか? (激しい妄想・・・ 笑) 何らかのアクシデントがあったのかもしれません。 いずれにせよ、二夜目に、 心づくしのお食事を頂いたことには感謝でした。 その旨、御礼を申し上げたかったのですが 翌朝、なぜか、女将は明らかにわたくしを避けているのです。 目を合わせることすらせず、すっと視線を泳がせる女将!! ええっ〜? なぜ? これではまるでわたくしが無遠慮なクレーマーみたいな 扱いじゃないですか・・・ そんなぁ・・・ ショック ・・・ (*_*) (T.T) (*_*) ・・・ そんなこんなで、最後まで腑に落ちないお宿の対応でしたが ともあれ、お食事につきましては 「足して二で割り、どうにか納得!?」 という 結果と相成りました。 でも、こうして強烈な(笑) エピソードが残ったことも ある意味かけがえのない記憶の1ページです。 いつも宗明庵のツァーは 「おいしかったですねぇ! 楽しかったですよねぇ!」 の一辺倒の結果ですが (そして、それが理想でもありますが) こんなことも含め、またよき思い出なのかもしれません。 Eさんのお宅のお庭で、たわわに実っていたおいしい甘夏を 送って頂きました \(^−^)/ 帰宅後はさっそく・・・ 甘夏のシフォンケーキ、甘夏のフルーツソースを作り お稽古前のおもてなしに。 甘夏の濃縮ジュースを使ってカクテルを作り おもてなしクラスの食前酒に。 皮は大量のピールを作りましたので、来月のお稽古で 召し上がって頂く予定です \(^−^)/ 街中に甘夏が実り、 まるで数々の黄色い灯りがともっているかのような 萩の風景を思い出しつつ、頂きます!! Eさん、本当にありがとうございました。 m( _ _ )m 「宗明庵 ・ 波乱万丈 萩ツアァー ・ 至福編」へもどる