宗明のつれづれ
これまでの「つれづれ」...


2014/9/5

☆ 宗明庵のお献立ができるまで ☆



懐石・春
「先生はどのようにレシピを作られるのですか?」
とのご質問を受けることが、しばしばあります。

今回は、そのあたりのお話をさせて頂きますね!
いつもの事ながら、ながーくなってしまいそうです。

ご興味のおありの方のみ、お読みくださいませ m(_ _)m


茶道のみの教室だった宗明庵が、
こうして「茶懐石料理教室」として歴史を重ね、
本年末をもって12年となります。

わたくしは、茶道=「お茶事」には、
茶懐石料理が不可欠なものだということを
母のお稽古を通し、痛感しておりました。

人生の早い時期に、「茶懐石」という美しいお料理の分野に
触れることができたのは、幸福なことだったと思います。

茶道的な侘びの食材や盛りつけ、取り合わせ等の美しさに心惹かれ、
今思えば、独身の頃から、お料理について
「どうしたらもっと美しく、もっと端麗な味付けに…」と
考えていたように思います。

たとえば、家庭で食卓にのせる煮物も、
ざっくりとした盛りつけでは何か落ち着かず、
ついつい食材ごとにきれいに整列させたり、
時間をかけて美しい杉盛りにしたくなってしまう・・・
そんなところがありました。

茶道の教室の傍ら、空いている日は毎日のように
母が長く学んでいた板前さんの茶懐石を
自分なりに作ってみては写真を撮ったり、
懐石・夏
納得のいく味つけになったら、その配合をメモしたり…
そんな歳月を重ねていました。

この時点では、単なる趣味ではありましたが…
なにぶん、A型なものですから
何事も徹底してやりたい性分なのです。

味付けも盛り付けも、納得がいくまで変えていくので
どんどん変化します。

子供を通じてお知り合いになった方に
写真の撮り方、画像処理の仕方、
ワードへの取り込み方などを教えて頂き、
パソコンに記録を残せたことも幸いでした。

自分の中に蓄積ができてゆくのが
楽しくて、楽しくて・・・ \(^-^)/
本懐石のみならず、月々の「点心」や「松花堂」、
そして「和菓子」も・・・
パソコンに何年分ものレシピが残っています。

「ひとり懐石研究会」の結果、出来上がったお料理は
そのまま家族の夕食となりました。

その頃の家族は、日々懐石料理の「試作品」を
食べさせられていたわけです。

(贅沢なことに、家族はやや食傷気味!?
育ち盛りの息子に至っては
「スパゲティーとかとんかつとか、食べたいよ〜」
などと言っておりました) (^^;)

家族だけの反応ではつまらないので
懐石・秋
茶道のお弟子さんや茶友をお招きし、
お料理を召し上がっていただくこともありました。

お茶をなさっている方は、こ〜んなに喜んでくださるのね!!
と、とても嬉しかったのを覚えています。

松花堂弁当や、いくつかのお料理を盛り合わせた「点心」のスタイルで
おもてなしすることもありました。

「わ〜、きれいですねぇ!」
「おいしぃぃ!」

その声をお聞きすると、幸福感でこころがいっぱいに満たされ、
お料理は、周りの方を幸せにする最大のツールなのだと
実感しました。

当時、よく聞かれましたのが
「全体の彩りがきれいですね。
 出来上がったお料理の予想図を絵に描いたりして、
 レシピを考えるのですか?」
ということです。

でも、そんな手間のかかることはまったくしないのです。
(絵心、ないですし…)

ただ、季節感を取り入れ、旬のものを使い、
かつ食材が重ならないように
五味五色のバランスや、器との取り合わせを考えつつ
自分の中に蓄積されたお料理を組み合わせていくだけです。

でも、その結果出来上がったお料理には
時に、自分でも、ちょっとホレボレしちゃったりして・・・!? (笑)


懐石・冬
勝手に「懐石研究会」をしていた、あの時代・・・
心から楽しい日々でした!

あのエネルギーは 「若さゆえだったのかしら?」と
今ではちょっとまぶしくすら感じてしまいますが(笑)
ともあれ、あの当時積み重ねた「自主・調理実習」が
現在のわたくしの礎です。


茶道のお弟子さんが「懐石料理の作り方を教えてください!」
とおっしゃってくださったことがきっかけで
お料理教室も始めたわけですが、
そのようなわけで、懐石のレシピはかれこれ十数年分はあります。

その中から抜粋したレシピが六年分、
それを更に「どうしてもご紹介したい!」と思うレシピのみに集約して
現在に至っております。


いらして下さる皆様と、長くご縁を保ちたいのは山々なのですが
完璧に納得のいくレシピ以外をご紹介するのは本意ではありません。

ですので、宗明庵は
「四年間でご卒業」 ということになっております。

ところが・・・
ありがたいことに、自主留年(?)を志願してくださる方が
多々いらっしゃるのです。

「でも、四年前とまったく同じお献立なのですよ」 とお話しても
「それでもかまいません」とおっしゃいます。

おそらく、茶道のお稽古と同様に
「長く、ゆっくりと、少しずつ身につける」というお考えの方が
多いのでしょうか。

確かに、「茶懐石料理のフルコース+和菓子」を、
一日のお稽古で全て身につけることは難しいのかもしれません。
螺旋階段をのぼるように、一歩一歩、確実に歩みを進めること、
それは茶道と通じるものがあるのですね。

来年が新たな四年間の始まりとなりますので
皆様にご希望をお伺いしているのですが
更に「もう四年間」と、希望して下さるお茶の先生方もおいでです。

さすがに申し訳なく・・・
「先生、でも、もう13年目になられます。
 本当によろしいのですか?」
とお聞きしてしまいます。

「お料理は十二年も教えていただいていますが
 私はそれだけのために伺っているわけではないのです。
 月々の室礼や、先生のおもてなしの心を楽しみに伺っているのですよ」
とのお言葉。

おもてなし・春
本当にありがたいことです。

そのお気持ちにお応えできますよう、
今後も心を尽くし、一層の精進を!と胸に刻む宗明です。

来年からの四年間を
またどうぞよろしくお願いいたします。




☆ 「おもてなし懐石料理クラス」について ☆

「茶懐石料理クラス」をご卒業になった皆様のために・・・
四年前に「おもてなし懐石料理クラス」をスタートさせました。

「おもてなし懐石料理しクラス」とは
茶懐石料理を、ご家庭のおもてなしにも役立てていただけますよう
独自にアレンジしたお料理のクラスです。

「おもてなしクラス (通称)」のお献立を考えるのは
わたくしにとって、とても楽しいものでした。

茶懐石は、華美に走ることを戒め、研ぎ澄まされた侘びのお料理です。
おもてなし・夏
それはそれで、他に類を見ない高い美意識の世界ではありますが
その縛りから、少しだけ抜け出したい、という思いも
心に秘めていたからです。

たとえば、涼やかなクリスタルのグラスに和え物を盛ったり
懐石のお取り回しには難しいお料理を小鉢に盛り付けたり
いわゆる「和モダン」なお料理をご紹介したい!!
と願っていました。

白いご飯以外のおいしいお食事や
季節の趣向に沿ったおしゃれなカクテル、
和のスイーツも楽しんでいただけたら。。。!!


もちろん、茶懐石を礎(いしずえ)としておりますので
「おもてなしの心」は何ら変わることはありません。

茶懐石とは、「おもてなしのスタイル」が違うだけだと思っています。

茶懐石が「順次持ち出し式」であるのに対し
おもてなしクラスは、全てのお料理をひとつのお膳にご用意する方式です。

したがって、器づかいのバランスがとても大切で
おもてなし・秋
それを考えるひと時が一番の楽しみです。

お料理を作り、それに似合う器を選び、盛り付けするのが
順当かと思うのですが・・・
わたくしはその逆です。
まず、大好きな器たちをじ〜っと見つめ、
それに似合うお料理を考えていくのです。

これも、長い研究時代を経て、数多くのレシピの蓄積があればこそ
なのかも知れませんが、
「この器にはこのお料理!! これしかない!」 というひらめきが
必ずあります。

ちなみに器を求める際には、概ねそれにのせるお料理までは
考えていません。
ただ、ただ
「あぁ、なんてステキなの! この器を持って帰りたい!!」という
衝動のみです。(笑)

でも、心の琴線に触れた器たちは、その後必ず役立ってくれています。


宗明の器道楽(?)は、生徒さんの間でつとに有名です (^^;)

よく、古くからの生徒さんに「四年間、同じ器に出会ったことがない」と言われます。
恥ずかしいので、その場では「そんなことないですよ〜」と申しますが、
実は・・・ かなり、本当です (^^;)

税理士さんに毎年あきれられつつ、相当の経費を器に注ぎ幾年月・・・

昨年度末にも
「もうさすがに、器は買わなくなると思います」と税理士さんにお話ししたところ
おもてなし・冬
「はぁ、そのお言葉、何年も前からお聞きしていますが」
と一蹴されました〜 (笑)

不治の病なので、仕方がないですね。。。

美しいお料理を、愛おしい器に盛る時のこのときめき。
それを共有し、ご一緒に楽しんで下さる、
おもてなしクラスの皆様に心から感謝しております。

これからも共に、たくさ〜んときめいて
おいしく召し上がって下さいねっ!  \(^-^)/










これまでの「つれづれ」...