宗明のつれづれ
これまでの「つれづれ」...



2010/4/30

☆ 古くて新しい懐石 ☆

わたくしがこの教室で月々の懐石料理のお献立を
ご紹介し始めて、早くも8年目になります。

長く通って下さる方もいらっしゃるので
メニューが重なることのないように、PCの記録を綿密に確かめつつ
毎月、お献立を組んでおります。

「毎月毎月、よくいろいろなお料理をお考えになりますねぇ」
とおっしゃって頂くと、本来でしたら
「いいえ〜、大したことじゃありませんのよ ♪」 と
涼しくお答えすべきなのでしょうが ・・・ 
ついつい本音で
「はい! ホントに。 私もそう思います ^  ^」 などと言ってしまいます。^ ^;

懐石料理は、通常のおもてなし料理に比べ、様々な「縛り」があるのです。
茶道的な決まりごとにより、使える食材にも制約がありますし、
季節感を損ねることの無いよう、華美に走ることもなきよう心がけなくてはなりません。

その中で心づくしのおもてなしの心を表現するのが「茶懐石料理」です。

それゆえ、創作料理のように、安易に時代の風潮や流行を取り入れるわけにもいきません。
それが苦しいところでもありますが・・・
反面、懐石料理は利休の時代より伝わる400年の「歴史」に支えられてもいます。

最近のわたくしの愉しみは、懐石料理に関する古い文献を眺めることです。
図書館では、今では書店で手に入らないような懐石の本が閲覧できますし、
内容がわからないまま買うのは少々冒険ではありますが、ネットオークションで古い書籍を入手することもあります。
実家に帰りますと、母の書架には辻嘉一先生の懐石の全集が並んでおり
それを読むのも帰省の楽しみのひとつです。 ^  ^

「向付にこんな風にあしらいを配するなんてステキ!」
「椀だねをこうすれば、焼物にも使えるのね・・・」
などなど、必ず何かしらの学びがあり、
おのずとお献立に加え、皆様にご紹介したいと思うアイディアも生まれます。

懐石料理は、なぜこのように時代を経ても「古くて新しい」のでしょうか?

それはおそらく、茶懐石特有の「縛り」に起因するのでしょう。
侘びの精神を逸脱するべからず!という規制は、一見窮屈にも感じますが
まるで流行の無いお洋服のように、決して古びることがありません。

宗明庵に通って下さっている皆様も、どうぞお嬢様に懐石料理のお献立をお伝えください。
お嬢様のこれからの人生に、きっとお役に立つことと思います。
(もちろん、ご子息様でも!)

世代を超え、いつの時代にも客人の心に添うお料理。
それが茶懐石料理だからです。 ^  ^



☆ これまた古くて新しい和菓子 ☆

茶懐石のお料理だけでなく
和菓子に関しても、やはり「歴史」が息づく世界です。

伝統的な上生菓子は今もなお、様々なお菓子処で作られ
茶席に使われています。
今月(4月)にご紹介した上の写真の練切りも
「桜川」あるいは「花筏」という菓名でよくお茶席で頂きますね。

これからの季節では
五月の「落とし文」や「岩根つつじ」、あるいは六月の「水無月」などは
伝統的な和菓子の代表的なものです。


余談ではありますが、右の2月の和菓子「うぐいす」は
さる製菓店でみかけたお菓子がヒントとなりました。

時間がなく急いでいましたので、求めてお味をみたわけでもなく
まさに「見かけた」だけなのですが・・・
(お菓子屋さん、ゴメンナサイ!!)
長年和菓子を作っていますと、生地の材料、中あんの素材等、
なんとなく想像がついてしまいます。

黒胡麻でちょこんと目がつけられている表情がなんと愛らしく、
帰宅してすぐに試作してみました。

簡単なのにとてもキュート☆なうぐいす・・・
たまにはこのような番外編もいいかしら、と、お教室でご紹介したのですが
その翌月、「何回も作りました!」「とてもほめられました」という嬉しい反響に驚きました。

手作りの温かさは、いつの時代にも人の心に届くのですね。
お茶席のみならず、ご家族やお友達にもどうぞ気楽に手作りの和菓子を差し上げて下さい。

これからも、簡単でおいしい和菓子のレシピ開発に努めてまいります。 ^  ^ ^  ^ ^  ^



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