宗明のつれづれ
これまでの「つれづれ」...



2009/6/30

☆ おもてなしの心について ☆

今更ながら・・・
宗明庵は
「茶懐石=おもてなしのお料理」 の教室です。

しかし、わたくしが月に一度、足を運んで下さる皆様に
お伝えしたいのは、おもてなし料理の「技術」や「知識」のみでは
ありません。


わたくしなりの「おもてなしの心」を、様々な形で感じ取って頂き、
この一日を存分に楽しんで頂けますように・・・ と、
心を尽くしているのです。


お茶席はもちろん、ご家庭でのおもてなしにおいて、
せっかくお料理のお味つけがよくても
お客様への気遣いが欠けていては、喜んではいただけないでしょう。

わたくしは、「おもてなし」とは、総合的な心配りが求められるものなのではないかと
考えております。

それは、わたくしが茶道に触れる中で、知らず知らず体得した意識なのかもしれません。


お茶席において、席主はストーリー性やテーマ性を基に、お道具組みに心を砕きます。
そして、客人はそれを心を澄ませて感じ取り、亭主の「こころ」をおもんばかるわけです。

わたくしも生徒さんが玄関の前に立たれた時から
わたくしの「こころ」を感じて頂けるよう、常に考えて準備をしております。

まずお伝えしたいのは「季節の移ろいと美しさ」・・・

五節句のような象徴的な行事がある月は、そこにテーマを絞ることもありますが
『色』で季節を表現すべく、テーマカラーを決める月が多々あります。

例えば、5月は藤や紫陽花、ラベンダーなど紫色のお花に満ち溢れる月ですので
テーマカラーは「うす紫色」でした。

玄関先の紫陽花から始まり、待合も廊下の壁もお手洗いの中も・・・
ふんわりと柔らかい紫色の小物やファブリックを選びました。
(ちなみに待合の掛物は 『百花為誰開』 でした)

教室に入ってすぐに目に止まるキャビネットの上には、藤の花のアレンジを。
紫色の和布でパッチワークした細いセンタークロスの上に
四季花蒔絵の描かれた飯台を置き、その上にあしらってみました。(写真・上)

6月のテーマカラーはグリーンです。
お花は薄い緑色の鉄扇のアレンジ。
そして、露草と蛍を描いたごく細いタペストリーを背景にしましたので
夜のほのかな灯りを思わせる雪洞のようなキャンドルスタンドを置きました。(写真・下)


もちろん、お茶席のお道具も月毎にすべて組み直しますので
皆様、それも楽しみのひとつとして下さっています。
特にお茶人の方々は、お料理のお稽古前にお茶室にお入りになって、しば〜らく出ていらっしゃいません。 ^ ^;


そうそう、あまり大きな声でお話しすることではないかもしれませんが、
宗明庵のお手洗いは、いつも皆様の話題となります。

「今月のマットもステキよ〜」
「壁掛けは七夕だったわ」
「あら、私、まだ拝見してないわ。帰る前に是非入らせていただかなくちゃ」

お、お床拝見、ならず・・・
おトイレ拝見、ですか? ^ ^;


でも、こうして皆様がわたくしと一緒に楽しんで下さるからこそ
わたくしもまた「楽しく」月々のしつらいを考えられるのだと思います。

「茶事の楽しみは亭主七分に客三分」などと申しますが
まさに言い得て妙なり。
お茶事ばかりでなく、お客様をお招きする側もこうして楽しませて頂くのですね。


来月は深い海のようなブルーをテーマにしたいと考えております。 ^  ^
うふふ、どうぞお楽しみに・・・

青いお花といえば・・・?
あら? 貝殻のキャンドルホルダー、どこにしまったかしら・・・?
波ウサギのタペストリーを飾りましょうか・・・

わたくしもちょっとワクワクです。 ^  ^ ^  ^


☆ おもてなしの心 ・ 追記 ☆

おもてなしは総合力・・・ などと
ちょっとエラそうなことを書きました。

でも、わたくしのおもてなしには、とりたてて法則性はなく・・・
ただ「こうしたい」という想いがあるだけです。

たとえば、月々の懐石の器たち・・・
どの月のお料理でも合う、季節感のない器を使うこともできます。
それによって、おもてなしの心が損なわれるわけではないのでしょう。

でも、黒い折敷の中で、黒い飯椀・汁椀に引き立てられるように据えられた
向付の器は、つい、季節を感じさせるものを使いたくなってしまいます。

季節感は、絵柄だけではなく、素材感、手触り、深さや浅さによっても表現されます。
そして、その中に、あしらいと共に彩りよく盛りつけられた旬のお魚・・・

その五感の喜びは、きっとお客様の心に残るものと信じます。


そんなわけで、向付のみならず、煮物椀や焼物皿、和え物や焚き合わせの器も・・・
つ〜いつい四季折々の物を揃えたくなってしまい・・・

ついに宗明庵は 『皿屋敷』 と呼ばれるまでになってしまいました!! ^ ^;

「先生、そろそろご不要の器、バザーしましょうよ!」
「その時は、この曜日のメンバーを一番最初に呼んで下さいね!!」

あの、えっと ・・・ 
どの曜日の方も、皆さん、そうおっしゃるんですよね・・・  ^ ^;


食器戸棚の中に高く、高く、積まれつつあるいとおしい器や漆器たち・・・
あぁ、どうか大地震が起きませんように・・・   ( >_< )


☆ おもてなしの心 ・ 追記 の 追記 ☆

ちなみに、わたくしがお着物で皆様をお迎えするのも「おもてなし」のひとつです。

お暑くなりますと、割烹着もなかなかツライので、最近は前掛けだけなのですが、
「先生、お着物にもしものことがあったらどうなさるんですか!?」 と、ご心配頂くこともあります。

でも、お茶事において、ご亭主はどんなに水屋が多忙であっても、きちんとお着物をお召しになっていますよね?
わたくしも同じ気持ちなのです。

ちなみに・・・ 
「もしものこと」があっても、眠れなくなったりしない・・・ そんなお着物を着るようにしておりますので

皆様、どうぞご心配なく。 ^  ^ ^  ^



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